大阪府豊中市にある走井給食センターの見学
去年の今頃、走井給食センターに見学へ行きました!めっちゃ興味深い取り組みに感激しました。興味がある方は読んでみてください!
情熱を持った栄養士3人が、
【給食に、皮を剥かないダイコンとニンジンを使用する!】という決意を固めました。
そんな熱い栄養士が働いているのは、大阪府豊中市にある走井給食センターです。ここは、毎日12,500人分の小学生の給食を作っている大きな給食センターで、先日、菌ちゃん先生が見学会を開催するというので参加させていただきました。
給食センターでは、小学生たちの栄養管理はもちろんのこと、常に食中毒予防、異物混入防止を考え、設備や動線を確保し、安心して食べられる給食を作っておりました。さらに、美味しいものを提供しようと、コロッケなどは化学調味料が入っていないものを選定したり、カレーやシチューは、市販のルーを使わず、手作りでルーを作り、提供しているそうです。2回に1回は小麦粉ではなく、米粉でルーを作るそうです!(^^)!その為にわざわざ、設備も作る徹底ぶり。感激いたしました。
また栄養士さんのお仕事は、給食センターの栄養管理だけでなく、食材の調達や選定、さらには学校の教諭も兼務して、食育授業もされており、大変御忙しいそうでした。
今回は栄養士さんがお話をしてくださり、皮付きダイコンを使うようになったいきさつも話してくださいました。
栄養士として忙しい日々を過ごす中、栄養士さん達は、菌ちゃん先生の講演に参加されました。そこで、衝撃を受けたそうです。「自分は、大量調理に慣れてしまい、野菜、一つ一つと向き合っていなかった」と。
また、その講演の中で「根菜の皮には抗酸化作用のあるファイトケミカルが豊富。紫外線や虫から我が身を守っている皮にこそ生命力が宿っており、その命をいただいて人間は体を強くする。」ことを知り、今まで捨てていた部分にこそ、命が宿っていることに気づきました。そこで、給食で皮付きダイコンとニンジンを使うことを決意します。
ところが、根菜は皮を剥いて3回洗って調理するという決まりがあることが判明しました。これは文部科学省学校給食衛生管理基準に基づいて、各自治体で学校給食の調理方法などを定めた規則であり、食中毒防止のために必要な手順になります。例えばこんな感じ。http://www.mext.go.jp/…/afieldf…/2009/05/26/1266277_08_1.pdf
普通なら、ここで諦めますが、情熱をもった栄養士さんは解決方法を模索します。食中毒検査の一つに一般生菌数検査があり、この検査はある一定条件下で発育する中温性好気性菌数を意味し、食品の微生物汚染の程度を示す最も代表的な指標です。そして皮付きと皮付きダイコン、ニンジンをそれぞれ3回洗って調理し、その二つの一般生菌数に違いが無ければ、問題ないと判断されるかもしれないと考えました。
試しに、調理を行い、一般生菌数を調べたところ、皮付きと皮むきで生菌数に違いがないことが分かりました。この結果を豊中市に伝え、検討してもらったところ、皮付きダイコン、ニンジンの提供が許可されました。
ここで重要なのは、豊中市が皮付き野菜を許可したこと、他の自治体では許可されないことがあるので、なかなか導入できないところもあるようです。
これで晴れて、皮付きダイコンとニンジンの提供できるようになりました。ただ、有機野菜、減農薬野菜の場合のみで、慣行農法の野菜は皮を剥いて提供されているそうです。実際に提供を始めて、とくに苦情もなく、子供たちは美味しく食べているので、栄養士の方々も安心されておりました。
この次に取り組んだのが、味噌汁に煮干し粉を入れることです。今の食生活には微量元素のミネラルが不足しがち。それにより子供たちの体温も35度台になり、風邪をひきやすくなっている現状があります。それを改善するのが、煮干しを丸ごとすりつぶした、ミネラルたっぷりの煮干し粉です。そこで、煮干し粉を1人当たり2g、味噌汁に入れて提供することにしたのです。現在は、月に3回程度、提供しているそうです。実際に、私も味噌汁を食べてみましたが、煮干しの味がしっかりして、美味しかったです。
ただ問題もあり、煮干し粉が口に残るのが気になる、煮干し粉入り味噌汁の提供日は残食が多いこと。さらに魚アレルギーの子が煮干し粉入り味噌汁を食べた日にポツポツと発疹が出てしまったと報告があったそうです。
そこで、現在は1人当たり1gに量を減らして提供してみようと協議中とのことでした。みんなが安心して食べられる量が決まるといいですね!(^^)!
煮干し投入!!
最後に給食センターとしてもまだまだやりたいことがあると仰る栄養士さんの姿に、こちらもワクワクしてしまいました。子供たちの健康を願って、仕事されている姿に感激しました。
また菌ちゃん先生から、「煮干し粉の取り組みは、全国の給食センターでここだけ、日本の望みです!!」と謝辞があり、見学会は無事に終了致しました。
その後、走井給食センターの給食残渣(食べ残しや野菜くずなど)を使った堆肥作りをしている堆肥センターへ見学にいきました。前日の給食残渣が718kg、そこに460kgのチップを加え、攪拌し、空気を送りこんで好気性発酵を行っているとのことでした。718kgも給食残渣がでることに、少し悲しくなりましたが、堆肥として生まれ変わるのであれば、また土に還ることが出来るので少し安心しました。
充実した1日となりました。吉田先生ありがとうございました。